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5年で東南アジアに10店舗目標! 「銀座ライオン」シンガポール店が9月23日にソフトオープン

リバーサイドエリアに立地する「銀座ライオン」シンガポール店
落ち着いた雰囲気を持つシンガポール店店内
シンガポール店の目玉となるローストビーフ
サッポロライオンの西村礼佳氏は「日本のビヤホール文化を世界に発信したい」と笑顔で語る


日本のビヤホール文化を世界に――。この掛け声の下、アジア市場の攻略に動き出しているのがサッポロライオン(東京都中央区、代表取締役社長 刀根義明氏)だ。同社は9月23日、東南アジア随一の経済成長を遂げてきたシンガポールに、明治32年創業の老舗ビヤホール「銀座ライオン」をソフトオープンした。グランドオープンは10月2日を予定する。これを皮切りにほかの東南アジア諸国への出店を進め、今後5年で東南アジアに「銀座ライオン」を10店舗出店する目標だ。

日本流おもてなしの心を伝える

サッポロライオン経営戦略部・担当リーダーの西村礼佳氏によると、新店舗「GINZA LION BEER HALL」はシンガポール川のリバーサイドエリアのひとつ「ロバートソンキー」に立ち並ぶ倉庫跡を使用した飲食街の一角に設置された。店舗の確保が迅速に実施できたことから、当初予定より1年前倒しでのオープンとなる。
新店舗が立地するのはハイセンスなパブやワインバー、アジア・欧米料理店などが入居する地区。近隣には高級住宅街やホテルがある落ち着いた雰囲気のエリアだ。近くに住む欧米人や日本人、さらにシンガポール人など多国籍顧客の利用が見込まれる。
ブランドの浸透に向け、サッポロライオンが力を入れるのは、「日本流の『おもてなしの心』を伝えるべく、質の高いサービスを提供すること」(西村氏)だ。シンガポール店には新規立ち上げの豊富な経験を有すとともに、外国人向けのサービスにも通じたベテラン日本人支配人を配置する上、日本からも調理などの担当者を派遣し、日本流のきめ細かなサービスと料理の質の確保に力を入れている。
メニューは1品当たり20~50シンガポールドルとする予定で、客単価はサービス料と税金込みで日本円3,500円ほどを見込む。
シンガポールの2012年の1人当たり名目国内総生産(GDP)は5万2051米ドルと高く、富裕層も少なくないことから、こうした料金設定でも十分に顧客をひきつけられるとみている。さらに欧米人客を取り込むため、ローストビーフなど肉料理を主軸として顧客への訴求を図る。

アジアのハブから世界に発信

一方、サッポロライオンがシンガポール出店を決めたのは、同国が「海外から多くの企業や人をひきつけるアジアのハブとなっていることが大きい」(西村氏)。
人口約530万人にすぎないシンガポールは、面積も東京23区と同程度と狭い上、資源にも恵まれない小国で、古くは漁村だった。だが、1965年の独立以降、政府主導による戦略的な経済政策の下、法人税を低く抑えるなど投資障壁をなくしてきたことから、これまでに物流、金融、ITなど各種産業が集積。高度人材を世界から受け入れるなど、知識集約型産業立国を目指し、人と企業の集まるアジアのハブとなっている。サッポロライオンは「銀座ライオン」のブランドを世界に浸透させるため、東南アジアの中枢に成長したシンガポールに出店した格好だ。

グループシナジー生かす

シンガポール進出の背景には、サッポロホールディングスが2011年にポッカコーポレーションを傘下に入れたことで、ポッカコーポレーションのシンガポール法人ポッカフードシンガポール(PFD)がサッポロライオンの完全子会社になったこともある。
PFDは後にサッポロライオン・シンガポールに社名を変更したが、以前からシンガポールでとんかつ/和食レストランの「とん吉」、カジュアルイタリアンレストランの「ドマーニ」、高級生ケーキ店の「リヴゴーシュ」を展開してきた実績があり、事業経験が豊富だ。
また、サッポロホールディングスはこれまでに、ベトナム南部ロンアン省に約52億円を投じてビール工場を建設し、生産を開始。日本のビール会社としては、ベトナムでの現地生産は同社が初めて。
サッポロホールディングス・コーポレートコミュニケーション部のマネジャー、服部祐樹氏によると、既にベトナム工場からアジア各地にビールの輸出を開始しており、シンガポールの「銀座ライオン」でも鮮度の高いビールをベトナム工場から調達できるようになっている。シンガポールでもサッポロブランドの生ビールが楽しめるようになっているのだ。このように、グループの積極的な海外展開も、サッポロライオンのアジア事業を強力に後押している。
質の高いサービスと料理の提供により、日本流ビヤホール文化の輸出を図るサッポロライオン。日本にビヤホールという業態を根付かせた老舗が新市場にどのように新風を吹き込むのかが、注目される。

(取材=巣内 尚子)

店舗データ

店名 GINZA LION BEER HALL
住所 8 Rodyk st. #01-01/02
電話 +65-6634-9113
営業時間 平日17:00~0:00/土曜11:00~0:00/日曜11:00~23:00
(変更の可能性あり)
定休日 なし
坪数客数 約71.3坪 100席
客単価 昼約1,200円/夜約3,500円(サービス料金・税込み)

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