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【マレーシア発】クアラルンプールで飲食店を展開する恵島氏が、市内一の観光地に出店。現地価格まで落とし込んだカレー専門店『Ken-chan Curry』が大盛況

「ムスリム(イスラム教信者)向けメニューに最も強いフードコート」として地元の信頼が厚いスリアKLCCに出店
平日昼間は近隣のオフィスワーカー、夜と週末はカップルや家族連れが多い。さまざまな人種が集まるのも特徴
最も人気の「Chicken Cutlet Omelett Curry Rice(チキンカツオムレツカレーライス/RM16=約417円)」
新規追加したメニューの「Tempura Rice BowL Mix(野菜天と海老天のミックス丼/RM16=約469円)」
中央が吉田大祐氏。スタッフは出稼ぎにきているインドネシア人やパキスタン人だ。「みんな非常に真面目で責任感が強い」

クアラルンプールの中心地にある観光スポット「ペトロナスツインタワー」。高さ452m、「世界一高いビル」として1998年の完成当時から世界的に知られているが(現在は第2位)、そのタワーのふもとには、全6階の巨大なショッピングビル「スリアKLCC(クアラルンプール・シティ・センター)」がある。高級ブランドやスーパー、日本の伊勢丹、紀伊国屋書店が入り、ペトロナスツインタワー自体もオフィスビルで、平日週末問わず人が絶えない。

このスリアKLCCには飲食店もマレーシア国内外の人気チェーンが集まるが、2階のフードコートに2018年3月にオープン、1年以上経つ現在でも順調に客足を伸ばしているのが「Ken-chan Curry(ケンチャンカリー)」だ。同じクアラルンプール市内に居酒屋「北海道食堂」、ラーメン店「麺屋 武一」、高級すし「寿司 織部(おりべ)」など複数の飲食店を展開するKen&Taro Consulting Sdn. Bhd.(クアラルンプール、代表取締役:恵島良太郎氏)が運営を行なっている。

宗教上の制限OKのチキンカツカレー

「Ken-chan Curry」はもともと、株式会社Globridge(グロブリッジ/東京都港区、代表取締役:大塚誠氏)がオーストラリアのシドニーで1号店を立ち上げ、成功させたチキンカツカレーの専門店だ。クアラルンプールの同店が2号店で、マレーシアで運営するFCとなる。中華系、インド系、マレー系という3つの民族が一カ国に共存するマレーシアでは、宗教上の食材制限が複雑かつ多い。特に豚肉はNGだが、そういった条件をクリアし、なおかつマレーシアの地元食にない目新しさを打ち出したのが、チキンカツカレーだった。

スリアKLCCのフードコートは、テナント全店が「ムスリム(イスラム教信者)の食材に強いフードコート」として地元の人に良く知られている。
「マレーシアでこのカレー業態をやろうと社内で決め、出店の営業をかけたらたまたま空いていて。ムスリムにも信頼があり、さらに集客量は国内で1〜2位を争うフードコートなので、ここで勝負できたらマレーシアでも絶対勝てると確信しました」(Ken&Taro Consulting Sdn. Bhd. 取締役の吉田大祐氏)。

テナントスペースの取得から4ヶ月間の準備期間を経て2018年の3月末に開業。中華系とマレー系の20〜30代女性客をメインターゲットとし、カレーと牛丼、うどん(チキンカツやクリームチーズを乗せた温かいつゆうどん)などのメニューからスタートした。じきに客層がカップルや家族連れまで広がり、現在はカレーと丼のアレンジメニューも増やし、また天丼(具は野菜天と海老天)や弁当(チキンカツやフィッシュカツ、鶏の唐揚げ、天ぷらをメインのおかずで選び、漬物と白飯をボックス詰めしたもの)も加えて約60品を提供している。

国民食にはない味と目新しさを提供

一番の人気メニューは「Chicken Cutlet Omelett Curry Rice(チキンカツオムレツカレーライス/16リンギット、以下RM。1RM=約26円)」。豚肉不使用のカレーライスに、ふわふわのスクランブルエッグとチキンカツを乗せたものだ。ムスリムの基準でもOKの、揚げた鶏肉はマレーシア全体で人気がある。ケンタッキーフライドチキンも現地で親しまれており、またマレー式フライドチキンにご飯と卵料理を添えた「ナシレマッ」という国民食もある。ただ、現地で出るのは固ゆで卵かカチカチになるまで加熱した目玉焼きが普通だ。マレーシアの人にとってやわらかい食感の卵はめずらしいそうで、それも受けているという。

また新たにメニューに加えた弁当も、いまでは全体の売り上げの2割を占める主力メニューとなっている。このスリアKLCCは観光地であると同時に企業が入居するオフィスタワーでもあるため、平日のランチ需要を中心に、週末も注文が多いそうだ。

現地価格でないと勝負できない時代

チキンカツカレー、丼、弁当、うどんと同店の全メニューで突出しているのは「価格の安さ」だ。総じて1食RM14〜16(約350〜470円)、日本国内のカレーや牛丼チェーンで気軽に食べられる感覚と変わらない。地元でも「おいしいのに値段が手頃なのが素晴らしい」と高く評価されている。
「『日本食はローカルフードより高いのが当たり前』という認識がお客さまと日本人経営者の両方にありましたが、マレーシアやインドネシアでファストフード業態を展開し、苦戦している日本企業は多いです。味や品質を保ちながらも、現地と同じ価格に落とし込まないといまは勝負できない。うちが初めてきちんと価格を下げたことが、業界全体の前進につながったのでは、と自負しています」(吉田氏)

店の運営は順調だが、今月2019年5月からスリアKLCCのフードコート自体が、丸1年のリノベーションを開始する。同店も半年間の休業を余儀なくされる。
「この間、クアラルンプール市内のフードコートなどに、年内中に3店舗、来年初めにさらに3店舗の出店計画を進めています。そして1年後にKLCCの改装が終わり、リニューアルオープンする頃には、7店舗を持つチェーンにまで育て上げたい。そうなれば、Ken-chan Curryは非常に面白いビジネスモデルになると思っています」と語る吉田氏。今後もそのエネルギッシュな躍進に目が離せなさそうだ。

(取材=浅野 陽子)

店舗データ

店名 Ken-chan Curry(ケンチャンカリー)
住所 FC 20, Signature Food Court Level 2, Suria KLCC, 50088, Kuala Lumpur, Malaysia
アクセス LRT線KLCC駅 下車、Suria KLCC方面へ。ペトロナスツインタワー館内に入り、Level2 Signature Food court内
電話 03-2181 4553
営業時間 10:00am〜10:00pm
坪数客数 500席(フードコート総客席数)
客単価 MYR16
運営会社 Ken&Taro Consulting Sdn. Bhd.
オープン日 2018年3月31日
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関連ページ 『いま、アジアの飲食マーケットが熱い(クアラルンプール編)』

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