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【タイ発】ラーメン専門店「69men」 外食業界苦境の時期に敢えて厳しいロケーションに出店

日本ではラーメン業界はもっとシビアで研究してる人が集まって勉強会をしてる。タイはこのままでいいのか

白いのれんと無垢板を使った看板が目立つファサード
エビのタレに漬け込んだピンクの煮玉子が印象的な「鶏清湯 潮SOBA」
無垢板の看板には東京の店舗と同じ「高円寺 六九麺」の文字が刻まれる
9席しかないカウンターに座ればラーメン作りの所作のすべてが見える
メニューは280バーツから350バーツまで(1,000から1,200円)という価格帯
日本人向けというより一部のタイ人向けと思われる
東京・高円寺の「六九麺」はラーメン激戦区、両脇が人気ラーメン店というロケーションに出店した

日本と同様、COVID-19(新型コロナウイルス)の感染拡大による政府の飲食店に対する営業規制という外食産業逆風の中、タイ国の首都バンコクのスクムビット通りトンローエリアにラーメン専門店「69men(ろっくめん)」が1月22日にオープンした。

 

タイの日本食店4000店の大台にのったが、
COVID-19の影響は深刻

JETRO(日本貿易振興機構)が2020年12月15日に発表した「2020年度タイ国日本食レストラン調査」(店舗数調査期間9月1日~10月31日)によると、タイ国内の日本食レストランは合計4094店で、前年から12.6%増加。前年からの増加数1,183店舗、減少数726店舗はともに過去最多を記録。

業種別で最も多かったのは「寿司」で、1038店(前年比50.9%増)。次いで「日本食(総合和食店など)」1015店(同7.4%増)、「ラーメン」420店(同2.1%減)、「すき/しゃぶ」336店(同21.5%減)、「居酒屋」285店(同0.7%増)、「焼き肉」268店(同10.3%増)。寿司業態の増加率が目立ち、業態別で1位になった一方、「すき/しゃぶ」「ラーメン」は店舗数を減らした。

JETROのレポートによると、減少数の急増はCOVID-19の感染拡大による事業環境の悪化が原因。また、特に外国人観光客やビジネス会食利用者などが多かった店舗で回復が遅れているとも指摘するが、富裕層を中心としたタイ人向けの店舗での回復が顕著との指摘もある。

しかし、2020年の12月末に起きたCOVID-19の感染拡大第二波により、タイの外食産業は再び苦境に立たされている。店内でのアルコール提供が全面的に禁止されたうえに、店内飲食も21時以降は禁止。これにより、居酒屋業態は大幅に売上げを落とし、接待などの会食需要もほぼなくなった。

このような状況下ではあるが、最近「ラーメン」に注目する声を多く耳にする。JETROの調査では店舗数を減らしたラーメン業態だが、タイ人の間では根強い人気の日本食メニュー。外食産業全体が冷え込む状況下でも新規オープンする店舗が少なくない。特に、ミシュランで一つ星を獲得した「蔦」ラーメンが昨年末セントラルワールドにオープン。他の店が閑散としている中、唯一満席、行列のできる飲食店となって注目を集めている。また、居酒屋などの異業態でも、回復しない日本人客ではなくタイ人客を取り込もうとしているのか、あるいは、食事メニューを充実させてアルコールが提供できなくて離れた客を呼び戻そうとしているのか、ラーメンメニューに力を入れる例も少なからず見受けられる。

 

いまなぜトンローに出店するのか
日本食激戦区への思い

いままさに外食業界苦境の時期に、敢えてオープンしたラーメン店「69men(ろっくめん)」の出店先は日本人が多く居住し、日本食の激戦区でもあるトンローエリア。もともとラーメン店が多く点在するエリアでもあり、フードスタジアムワールドでも以前紹介したラーメン店「豆の木」が開業まもなく撤退したまさしくその場所。この付近には日系のラーメン店も多く、日系ラーメン店の激戦地でもある。

「69men」は、東京の高円寺にあるラーメン店「noodle kitchen 六九麺」のタイ進出一号店。この屋号のラーメン店としては新規出店だが、ちょうど1年前にオープンした日本食店「Live Kitchen 天翔」からのスピンアウトとしての出店。「Live Kitchen 天翔」のマネージャの井上虫歯二本さん(以下。虫歯)がカウンターの中に立ち腕を振るう。

こんな時期になぜトンローに出店したのだろうか。「日本人が多い地域って聞いていたのに、日本人向けの店の多くが閉店してて、寂しい感じがしました。日本人の人口が減ったのかわかりませんが。じゃあ、ラーメン店を出して日本人をもう一度呼び戻そうと思いこの場所を選びました。この店が賑わえばこのあたりの街も賑わうかなと思って」(虫歯)と、かつての好立地に空き店舗が出ただけでなく、つい1年前までは賑わったトンローエリアの衰退ぶりを憂う気持ちがあったと話す。

 

「69men」の目指すところ
タイのラーメン文化への危機感

出退店が多く競争が激しいタイのラーメン業態。この時期に開業した動機が気になるところ。タイ人経営のラーメン店も増えている中でどんな意味があるのか。このような疑問に対しては、「日本人がオーナーでやってるラーメン店がバンコクに多くあるが、日本人自ら厨房に立って“麺揚げ”をしてる店が一軒もなかった。店主が自分で作ったほうがもっと美味しんだろうなと思ってた。一方で、小さな日本食店や居酒屋でラーメンを出してる店のほうが店主がちゃんと味を見てるところが多かった。そういう人たちはいまのバンコクで日系ラーメンをやっている専門店に対して思うところがあるはず。いまの流れをタイのラーメン文化にしていいんだろうかという気持ち。日本ではラーメン業界はもっとシビアで研究してる人が集まって勉強会をしてる。タイはこのままでいいのか」(虫歯)と話す。

「69men」はオープンキッチンでカウンター9席だけのこじんまりした店。料理人と客がカウンターを挟んで対峙する設えも、板前が目の前で調理してお客さんに料理を提供するというスタイルへのこだわりがあるように感じられる。最近タイで流行っている寿司や割烹の“おまかせ専門店”にも通じるものがある。そのようなお店は店主とお客さんのカウンターを挟んでのコミュニケーションがお店のウリだ。実際、この店を作る時にはカウンターだけのおまかせ形式の高級寿司店や和食店を回って新店舗の参考にしたらしい。

「69men」の客単価は300-400バーツを想定しているとのこと、現在のタイのラーメン一杯の価格は、日系最大のラーメンチェーン「8番ラーメン」が70バーツから、「幸楽苑」が99バーツから、ローカル食堂のバミー(タイ式ラーメン)なら40バーツから、がタイのラーメン“相場”。考えれば、300バーツ以上の価格帯のラーメンは明らかに、前述の「蔦」ラーメンのように、日本人ラーメンマニアか一部のタイ人狙いだと思わざるを得ない。実際、おまかせ形式の高級寿司店の顧客層はほぼ100%が高所得層のタイ人だ。

今後、日本から進出してくるラーメン店も増えるだろうが、それ以上にタイ人経営の本格的ラーメン店の出店が増えてきている。徹底的に日本のラーメンを研究し、東京に出店しても戦えるようなレベルで勝負する。しかも、タイの食材を上手に活かして原価を抑え提供価格も低く設定できる。タイ人だけでなく、価格に敏感な日本人は「安くて美味しいラーメン」に飛びつくだろう。そんな時、価格に見合った価値を提供できるか。価格ではなく価値を訴求できるかが生き残りのカギ。

(取材=まえだ ひろゆき)

店舗データ

店名 69men (ろっくめん)
住所 44/11 Soi Akapat Sukhumvit 55 Rd, Khwaeng Phra Khanong Nuea, Khet Watthana, Bangkok 10110
電話 +66825286439
営業時間 11:00-21:00
定休日 なし
坪数客数 44平米 9席
客単価 300-400バーツ
運営会社 TANNYS ENTERTAIMENT CO., LTD.
オープン日 2021年1月22日
関連リンク Facebookページ(69men)
関連リンク Facebookページ(高円寺 六九麺【ロックメン】)
関連リンク Facebookページ(Tenshow 天翔 inバンコク)
関連ページ 【タイ発】お笑い芸人から飲食業界に転身 バンコクでミシュラン星を目指す All Blue Food Co., Ltd. 井上 虫歯二本

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