カンボジア・プノンペンでカフェ「kiriya cafe(キリヤカフェ)」2店鋪、ラーメン店「麺屋がち」1店鋪、ハンバーグレストラン「GORILLAN BURG(ゴリランバーグ)」1店舗を展開するトライアジアグループ(代表:横井朋幸氏)。日本国内で事業を行なっていた横井氏がカンボジアに着目したのは、国自体の成長性に興味を持ったことに始まる。2011年には、自身のコンサル企業を売却。その資金を元にカンボジアで飲食業を開始した。「カンボジアの情報はあまりにも少ない。だからこそ希少価値がありました。また、カンボジアのビジネスマンはまだ若く、玄人がいない。マーケットとしてのポテンシャルは高いのに、それを狙う企業がまだまだ少なかったため、ここでビジネスをするのに勝算はおおいにあると感じたのです」。
カンボジアは、インドシナ半島に位置する人口1500万人の国である。横井氏が「kiriya cafe」をオープンした2011年当初、カフェ業態はほぼ皆無であったという。しかしこの1年半でカフェが急増し、近隣諸国からも多くのチェーン店が参入してきた。それほど魅力的なマーケットであると他国からの期待を集めている国なのだ。また、横井氏は現在のカンボジアを「インターネットのある昭和30年代」と評する。これは、日本の昭和30年代における成長性に、インターネット社会が付随していることを意味している。そのため、日本の1ヵ月がカンボジアでは1週間に相当するほどの成長スピードであるというのだ。このことからも今でなければ「そろそろマーケットが埋まる」と横井氏は分析する。
「kiriya cafe」の客単価は、コーヒーにケーキなどのサイドメニューで$4~5。コーヒー1杯$2~3と、現地のカフェレストラン一食平均価格がおおよそ$3~であることを考えると、富裕層向けの価格帯となっている。また、夜にはステーキやハンバーガーなど、カフェダイニングとして営業するため客単価は$5~8にも上るという。原価率はおよそ31%。2店舗で提供するケーキは同国内のセントラルキッチンで製造、各店舗へ配送している。また、店内メニューは全て自店舗のキッチンにて調理をしている。「カンボジア国内でも、日本への憧れを抱く若者は多いです。そのため、日本企業が運営するカフェという付加価値も来店動機になっていると考えられます。あとは、口コミで集客していますね。働くスタッフも同様で、いずれカフェで独立したいと考えている方々も多いと思います」。
一方、豚骨ラーメンを主力とした「麺屋がち」は、日本でラーメン修行をした店主が店を切り盛りする。1杯の価格は$7だが、自家製の餃子や辛子高菜丼などのサイドメニューオーダー率が高く、客単価は$8~9で推移する。
横井氏が目指すのは、外食だけにとどまらない「カンボジア最大の総合商社」である。事業には大きく2つあり、飲食業を中心として、不動産業、設計施工業、食品衛生・流通・卸などの周辺領域を固めている”コア事業”と、サッカー事業、システム開発事業、発電事業などの”ノンコア事業”だ。コア事業では、物件探しから設計施工、什器備品を揃え人材を採用し、運営するまで、飲食店を出店する際に必要なことすべてを自社でまかなえる事業体制を構築。現在は、大阪のメーカーとの協力による家具の製造工場を建設中で、年内には家具の製造から販売までを行なう予定だ。一方で、ノンコア事業は「既得権のため」の展開である。「日本では既得権を取得できる事業はほぼありません。しかし、カンボジアでは今だからこそ取得できる事業がたくさんあります。そこで、企業規模の拡大も狙っているのです」。
8月25日には100席を超える大箱のファミリーレストラン「GORILLAN BURG(ゴリランバーグ)」を出店。横井氏の頭のなかには、既に今後展開予定の9業態の発想があるという。「人口1500万人とマーケット自体は小さいため、同じ業態を何百も展開はできません。そのため、常に新しい業態を展開しなければいけないのです。現在は2ヵ月に1店鋪の出店ペースですが、いずれは1ヵ月に3店鋪、2015年までには50~60店鋪を目指しています」と横井氏は数字目標を明かす。
(取材=虻川 実花)
店舗データ
店名 | kiriya cafe st 278 |
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住所 | No.3Eo,St 278,Phnom Penh,Cambodia |
電話 | 015990615 |
営業時間 | 7:00~24:00 |
定休日 | なし |
坪数客数 | 120席 |
客単価 | $5~8 |
関連リンク | kiriya cafe |