6月15日、ホーチミン市中心部に「MASAMUNE Ramen & Bar」がオープンした。ベトナムと日本の合弁会社「DL&ARコーポレーション」が経営を行う。ベトナムで製菓販売を展開する「DLスイーツ」が、仙台を本拠地とするラーメン店「麺屋 政宗」をはじめレストラン・カフェを経営する「ARコーポレーション(代表取締役・丹野浩行氏)」に出店を呼びかけ、オープンに至った。
看板メニューの政宗ラーメンは醤油・塩の2種類。ベトナム人の嗜好に合わせたオリジナルメニューとして、海鮮ラーメンとレモンラーメンを加えている。「麺屋 政宗」は、2015年にロシアのサンクトペテルブルグ、翌年にカンボジアのプノンペンに出店。いずれも在住外国人やローカルが主な客層で、日本人の割合は少ないという。海外3店舗目となるベトナムでも、”ターゲットはローカル層”、とオーナーの丹野氏は断言する。「ベトナム人をターゲットにするなら、大通りでの出店はマスト。角地を制するものはローカルを制すると確信した」という。交通量の多い目抜き通りの交差点に、ガラス張りで家紋をモチーフにあしらったスタイリッシュな外観はかなり目を引く。目論見通り、開店準備段階から十分な宣伝効果を生んだようだ。事前告知が無い状態で、オープン当初からローカル客で賑わい、採算ラインの1億ドン(約50万円)超えをキープしているとのこと。
立地が日本人エリアに近いこともあり、在住日本人も来店するというが、あくまでローカル層が好むアレンジに徹する。最も苦慮したのは味。濃厚な味付けが敬遠されるため、日本に比べて塩分と油分を少なめに、キッチンスタッフと幾度も微調整を重ねた。ラーメンは、ベトナム人に馴染み深いフォーのイメージで、つけ麺はブンチャー(肉と野菜のつけ麺)に近づくよう、あっさり薄めのスープや具材の味付けを心がけている。日本食に対するベトナム人のイメージは、寿司刺身が群を抜き、次にラーメンが挙がる程度。丹野氏によるとラーメンの美味しさは、まだ認識されていないという。まずスープに親しんでもらおうと、同店舗ではお茶漬けの出汁にスープを使っている。媒体を使った宣伝はやっていないが、オペレーションが落ち着いたらローカル向けのプロモーションを展開するつもりだ。日本人向けの市場は、アジアの大都市である上海やバンコクでも十万人単位。若者層が厚いベトナムではローカルのポテンシャルは計り知れない。ここ数年で、日系のラーメン店は出店が相次いでおり、近く大手の進出も噂されている。ますます活況を呈しそうなベトナムのラーメン市場。競争の激化も見込まれる中で、丹野氏が目指すのは「コンセプトが確立した、ブレない店」。
今後5年間で30店舗の出店を視野に入れ、2号店の候補地としてすでにホーチミンやハノイで物件の選定を行なっている。
(取材=迫田 陽子)
店舗データ
店名 | MASAMUNE Ramen & Bar |
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住所 | 31 Thai Van Lung Street, Ho Chi Minh City, Vietnam TPHCM |
電話 | (028) 38 238 755 |
営業時間 | 11:00am~24:00pm (L.O. 23:30pm) |
定休日 | 無休 |
坪数客数 | 120平米 80席 |
運営会社 | DL & AR コーポレーション |
オープン日 | 2017年6月15日 |
関連リンク | HP |