5月25日、ホーチミン市中心部の路地裏に、日本の定食メニューが楽しめる「定食屋FUJIRO」がオープン。新潟産のコシヒカリに、食べ応えのあるトンカツをはじめとした御飯の友が勢揃いする、文字通り”町の定食屋”だ。
経験豊かな2人の共同経営者が舵を取る。ホーチミン在住で日系飲食店の出店を支援している、永露 仁吉氏。日本をベースにフードビジネスを展開する高取 宗茂氏だ。FUJIROが店を構えるのはユニークな立地で、ベトナム語で「路地」を意味する”ヘム(Hem)”と呼ばれるエリア。日本人街として知られるレタントン地区のメインストリートから一本入ると、小規模な飲食店やバーが入居したビルがひしめく。実はそれらの階上は、外国人向けの賃貸アパートで、その入居者の多くが日本人だという。永露氏は「仕事帰りに気軽に、おひとり様でも楽しく食事ができる店が欲しかった」と語る。自身も5年前に来越、当時はお酒や一品料理を提供する居酒屋が多く、一人で食事ができる日本料理店がほとんどなかったと振り返る。バランス良く、純粋に食事ができる場所の需要を痛感したとのこと。
FUJIROでは、日本人だけでなく、ローカル層へも訴求できる料理として、とんかつを看板メニューとして打ち出した。「厚切りロースカツ御膳」(18万ドン、約900円)は厚さ3センチで約200グラムとボリューム感満点。豚肉は、地元でもよく食べられるメニューで、しかもFUJIROでは高品質の食材を採用している。ベトナムでも馴染み深い食材でありながら、厚切りでも柔らかく旨みのある豚肉を味わってほしいそうだ。高取氏は「日本の食文化といえば、寿司と刺身のイメージが強い。日本食の根幹を支える食材のおいしさや、日本人のこだわりを現地に伝えたい」と意気込む。ベトナム人は材料にプレミアム感を求める傾向にある、と分析。新潟産コシヒカリのつや感、厚切りでもジューシーで柔らかいとんかつは、彼らの固定観念を破る突破口になるか。現在、夜の営業ではベトナム人のローカルスタッフ二人が厨房を切り盛りしている。仕込みや準備はワンオペでこなせるほど熟達してきたという。ベトナム人の”日本食”観を変えるべく、オペレーションが落ち着き次第、メニューの種類を増やす方針だ。
オープンから数日で、1日平均180人超の来店を記録。当初は日本人の男性客を多く見込んでいたが、土日には家族連れや、日本食に馴染みの深い韓国、台湾人の姿も目立つという。現在はカナダ産の豚ロースを使用しているが、近日中に鹿児島の黒豚を導入する予定だという。ベトナムでは豚の脂は軽視されているが、その概念を覆す美味い豚の脂のうま味を伝えたいと意気込む。
(取材=迫田 陽子)
店舗データ
店名 | 日本の定食屋 FUJIRO |
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住所 | 8a/5b1 Thai Van Lung Street, Ho Chi Minh City, Vietnam TPHCM |
営業時間 | Lunch 11:30am~2:00pm (L.O. 1:30pm) 、Dinner 5:30pm~10:00pm (L.O. 9:00pm) |
定休日 | 無休 |
坪数客数 | 32平米 28席 |
オープン日 | 2017年5月25日 |
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