国内最大手となるラーメン通販サイト「宅麺.com」を運営するグルメイノベーション(東京都渋谷区、代表取締役:井上琢磨氏)は、2014年11月4日シンガポールにセレクトショップ型ラーメン店「TAKUMEN」を、翌5日には2号店「TAKUMEN 2nd」を相次いで出店した。1号店では久留米とんこつ「本田商店」、横浜家系「作田家」、二郎系「ちばから」、勝浦タンタン麺「ビンギリ」、味噌ラーメン「ど・みそ」、鶏白湯「らぁめん元」の6店舗のラーメンがオーダー可能。また、2号店はテーマパーク型居酒屋「大衆酒場」の中の一部で営業する“ショップインショップ型”で展開しており、6店舗のラーメンを週替わりで2種類提供する。
今回の出店経緯について、取締役野間口氏は「ラーメン通販サイト『宅麺.com』を国内で展開し始めてから、海外の投資家などから海外でラーメン店を出店したいという問い合わせが増えており、世界でのラーメンニーズの高まりを感じていました。一方で、国内にあるラーメン店の8割が個人事業主であり、彼らが自力で海外出店を行なうことは難しい。そこで、宅麺が個人ラーメン店のブランド普及をサポートすることで、海外のラーメン市場を盛り上げようとの考えから始まりました」と話す。
「宅麺.com」最大のメリットは、店舗で提供しているスープ、麺、具材にいたるまでを、そのまま自宅で楽しめること。現在、全国100店舗が加盟しており、一般会員数は10万人にのぼる。また、2014年12月には、ラーメン検索や発注情報入力スマートフォン対応のアプリをリリース。すでに多くの会員が利用している。
今回の出店では、これまで培ってきた個人ラーメン店とのつながりが活きた形だ。各ラーメン店からスープのレシピを教えてもらい、シンガポールに設置したセントラルキッチンで忠実に味を再現したスープを作り、店舗へ配送するという流れを採用。スープは全て宅麺側で買い上げ、ラーメン店には、1杯あたりのマージンがバックされる仕組みだ。「各ラーメン店には、店にとって命とも言えるスープのレシピを教えてもらう代わりに、我々が全て買い上げるために在庫リスクを負わず、また出店にかかる費用も一切頂かない契約となっています。また、現地には弊社の日本人幹部社員を配備し、味の均一化やレシピの機密保持にも配慮した体制を整えています。店舗にとっては低リスクで海外進出が可能です。こうしたスキームが出来たことは宅麺がこれまでラーメン店と培ってきた信頼関係によるものだと自負しております。」と野間口氏。
1号店は、金融会社などが多く林立するボートキーに立地。近隣にもラーメン店が多く出店する場所の路面店に位置し、日本のラーメンが味わえると、昼夜ともに会社員で賑わう。一方2号店は、住宅街とオフィス街が融合するダンジョンバガー地区にある、集客力のあるモール内で営業する。両店ともにオープン当初は、駐在の日本人が多く訪れたが、現在では現地人7~8割まで伸張。現地の人にも日本のラーメンが浸透してきており、確かな手応えを感じているという。
「シンガポールでのラーメンは、れっきとした“日本食”の一つという位置づけなので、通常客単価13S$程度と、決して安くはありません。我々は単なるファストフードではない「ラーメン文化」を伝えていきたいと考えています。そのため、『TAKUMEN』両店ではラーメン1杯をトッピング+税金で17~18S$ほどで提供し、ラーメンとドリンク以外は置きません。我々はいずれ“世界のラーメンはワイン化”すると考えています。現在、海外でのラーメンの大半がとんこつ系ですが、日本のラーメンには鶏や魚介スープもある上に、二郎系、家系など多岐に渡っていますよね。そうした味の多様性や広がり、可能性があるからこそ、ストーリーや想いも含めたラーメンという食文化を普及させたいと考えているのです」と野間口氏。まずは、より多くの「宅麺.com」加盟店をシンガポールへ出店させ10店舗まで増やし、その次にマレーシア、ベトナム、タイ、そして中国へと手を広げていく予定だ。「目指すは世界一のラーメンカンパニー」と野間口氏は意気込む。
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[話題店チェック]
2015.03.02
ラーメン通販国内最大手「宅麺.com」の人気6店のラーメンが、味をそのままにシンガポールで味わえる。「TAKUMEN」、「TAKUMEN 2nd」が2014年11月4日、5日にオープン
- 路面店となる1号店は、現地人7~8割を集客する人気店へと成長
- 居酒屋の中に立地する2号店。ラーメンは週替わりで2種提供
- 久留米とんこつや二郎系、横浜家系、味噌など6つの味を展開する
左列上から、作田家、本田商店、ど・みそ、右列上から、ビンギリ、ちばから、元(はじめ) - 写真左から、取締役の野間口氏、代表取締役社長の井上氏、ソラノイロ店主の宮崎氏