日本随一の“活イカ卸直営”「イカセンター」が、4月15日香港のコーズウェイベイにある飲食ビル22階にオープンした。運営は、新宿や神楽坂、御茶ノ水などで同業態を10店舗展開するほか、「銀座船形」、「鳥波多゛」、「れば屋」などの7ブランドを持つスプラウトグループ(神奈川県川崎市川崎区、代表:高橋誠太郎氏)。2014年3月15日には、現地法人スプラウトエイジアタイランドを立ち上げ、同社初となる海外店舗「TORIHADA スリウォン本店」をタイ・バンコクに出店。香港出店でも、現地法人スプラウトカンパニーリミテッドを独資で立ち上げ、多店舗展開を視野に入れる。
「今回の『イカセンター』は、海外2店舗目となります。出店地に香港をセレクトしたのは、マーケットの可能性を感じたためです。アジア圏の富裕層はラグジュアリーな雰囲気を好む傾向があり、外食に空間を求める方が多い。そのなかで香港は、8,000~9,000円台の客単価を支払ってでも、おいしいものを食べたいと考えるお客さまが多いと判断できました。我々にしかできない業態とマーケットが合致した結果ですね」。香港店での想定客単価9,000円という設定価格は、日本の客単価4,500円の倍額。この価格を支払ってでもという現地人5~6割を集客し、オープン1ヵ月で確かな手応えを感じているという。
看板の活イカは日本産のヤリイカ、スルメイカ、赤イカ、スミイカなどを使用。イカはストレスを与えないように、一杯ずつ生きたままパック詰めし、ほぼ毎日羽田から直送する。こうして届いたイカは、店内に設置した大きな生け簀に泳がせ、活きのよさをアピール。イカを用いた料理は10種を揃え、その他には日本とほぼ同様のメニューを採用し、日本食の魅力も発信する。「この輸送コストだけで、月200万円以上を費やします。しかし、魚は鮮度が命です。ですので、これだけのコストをかけても日本と同じクオリティのものを提供したいと考えています」。日本から届く活イカが味わえると、すでに現地メディアからの取材依頼も多いという。
初めて出店する香港について、高橋氏は次のように話す。「香港での和食専門店成功例は非常に少なく、5店舗以上を展開する企業はごくわずかというほど、難しいマーケットだと思います。しかし僕は、日本で展開しているブランドを、同じレベルのまま海外の繁華街に持っていくことができれば、繁盛店にする自信があります。そのために『イカセンター』は輸送コストをかけているのです。一方で、十分な利益を出すには店舗展開をすることと、現在の物流を改善することが必要です。リカーライセンスを取得できていない現段階での月商は、日本円で900万円。アルコール販売を行なうことで月商1,200万円まで伸ばします」。リカーライセンスを取得し、アルコールの販売を行なうのは5月から。ビールをはじめ日本酒20種、日本ワイン15種などの販売を開始することで、現客単価HK$750をHK$800まで引き上げられるとの予想だ。
「香港での目下の展開目標は、魚業態で3店舗。物流が確保できているので、イカセンター以外のブランドも考えられると思います。また、この物流をモデルに日本産の水産物や農産物の販路拡大を考え、他国でも展開できる仕組みづくりも考えていきたいですね」。現在はバンコク、香港での出店のみだが、将来的にはシンガポール、インドネシア、ベトナムなど東南アジアを席巻する企業を目指したいという。
(取材=虻川 実花)
店舗データ
店名 | 香港イカセンター 銅鑼灣(香港烏賊中心銅鑼灣) |
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住所 | 22/F, Circle Tower, 28 Tang Lung Street, Causeway Bay |
電話 | +852-3904-3533 |
営業時間 | 18:00~24:00 |
定休日 | 月曜日 |
坪数客数 | 約33坪55席 |
客単価 | HK$650 |