関東圏で「いざかや炎丸」「炎丸酒場」「BBQ Restaurant」を7店鋪展開するプランズ(東京都葛飾区、代表:深見浩一氏)。2010年から居酒屋、焼肉業態でシンガポールに4店鋪を出店し、2013年4月25日にはジャカルタへの進出も遂げた。さらに上海、香港、シドニーでの展開も決まり、海外展開の勢いに乗る企業だ。「アジアで繁盛店をつくると、国内外に関わらず投資家から声がかかりやすいです。アジアの投資家は、飲食に投資対象としての魅力を感じています。そのため、投資家自らが街場の店を食べ歩くことが多いので、さまざまなところから声がかかるのです」。ビル最上階の46階に位置する「炎丸 ジャカルタ店」は、“世界一高層階の本格居酒屋”である。約80坪100席の規模で、オープン翌月にはすでに損益分岐点を超える売上げを達成。6月からは月商20億ルピアをコンスタントに売上げる繁盛店となっている。
アジア進出1号店となるシンガポール店は、物件取得費などの出店費用を投資家が出資。業態開発やオペレーション面などの運営をプランズが執り行なう。初期投資がない分、固定ロイヤリティと利益分配を支払う形で契約をしている。「海外出店の際、独資か合弁か悩む方も多いと思います。僕の場合は、現地の情報やノウハウが欲しいのでパートナーと組んだ方がよいと考えています。また、パートナーと組むことで好立地への出店が適うことが多いですね。独資で出店した場合、初期投資の少ない二~三等地から始めて、一等地へ進出という過程を経なければリスクが高いですから」。新店舗となるジャカルタ店もシンガポールと同様に、現地投資家からのオファーによるパートナー契約での出店となっている。
ジャカルタでは、日本の創作料理がなんでも食べられる居酒屋という業態への評価が高いという。そこで、メニューの50%をオーセンティックな居酒屋メニュー、残り50%を現地人の口に合う創作のローカライズメニューで構成している。「アジアで日本食は人気が高いですが、日本人以外の方が経営するパターンが多い為に質がよくないなど本物感が少ないです。そのために、尖ったコンセプトを立てるよりも、まずは日本の居酒屋料理をしっかりと提供することを考えました。例えば築地から新鮮な魚介を空輸する、繊細な和食を際立たせる器にまで気を配るなどですね」。ターゲットはミドルからハイエンドのアッパー層を狙っているため、ディナー客単価は60万ルピアほど。しかし、もっと居酒屋らしく客単価を抑えて客数を増やしたいと、今後は価格やメニューの見直しを随時図っていく予定だ。
深見氏のアジア進出の目的の一つに「日本食文化の輸出」がある。そのためには、現地の日本人スタッフ比率を下げ過ぎないことが重要だと説く。「現地スタッフに一任するとQSCが下がり、結果、売上げが下がるのです。そのため、各店に最低でも2~3人は日本人スタッフを置いています」。現地スタッフには、日本の居酒屋にある“ホスピタリティ”という意識を勉強していく必要があるため、必ず日本人スタッフが現場に入らなければならないという。こうしたホスピタリティを含めた日本の食文化を現地に浸透させるために、現地スタッフを日本の現場で研修させることを次の展開として考えている。また、日本のスタッフには週に1回無料で参加できる英語教育の場を設けるなど、現地スタッフを受け入れる体制も作り始めている。
前述したように今後は、10月に香港1号店、11月上海1号店、12月に香港2号店と予定している。「次出店の香港では、日本の炎丸で提供している47都道府県の梅酒を集めた『日本全国梅酒の旅』を導入しようかと考えています。アジアではアルコール比率が低く、食事と飲みを切り離した使い方をされる方が多いです。一方で日本酒の評価が高いですし、シンガポールで導入しているフローズン生の売上げは好調です。ですので、こうした飲み方を提案することで、日本の居酒屋使いもしてもらえるのではと感じているのです」。深見氏が目指すのは、「人に貢献し続ける集団たれ」という経営理念の下に築き上げる、世界に通じるホスピタリティグループ。そして最終目標は、世界制覇である。
(取材=虻川 実花)
店舗データ
店名 | JAPANESE RESTAURANT ENMARU |
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住所 | 46F JI.M.h. Thamrin Kav 28-30, Jakarta Pusat 10350 |
電話 | +62(0)2129922448 |
営業時間 | 11:00~24:00 |
定休日 | 無休 |
坪数客数 | 約80坪 100席 |
客単価 | ランチ400,000ルピア、ディナー600,000ルピア |