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インタビュー

【タイ発】伝説のすた丼屋がタイに上陸 4年間で20店舗の出店を目指す PTW FOOD Co., Ltd. 佐々木 通安

前回引用したJETROが発表した「2019年度タイ国日本食レストラン店舗数調査」によると日本食レストラン3,637店のうち、牛丼の吉野家、すき家、天丼のてんやなどの丼専門店は133店(そのうちバンコク都内に85店)が出店している。寿司店(683店)、ラーメン店(429店)などに比べると、店舗数は少ないが、カレー/オムライス専門店(60店)よりは多い業態だ。また、ラーメン業態、寿司業態など丼ものメニューを提供しているケースもかなり多くある。

牛丼、天丼などご飯に各種の具材を載せて食べる丼ものはタイの大衆向け料理にもよくある食べ方で、タイ人にとっても親和性がある。また、スープなどにコストがかかるラーメンと比べても、具材によっては低価格で提供することが可能なため、今後日本食の普及が期待される中流層のタイ人に受け入れられていくことが期待される。実際にコンビニエンスストアのお弁当類の中にもカツ丼、親子丼、カルビ丼などの日本式の丼ものメニューはすでに多く普及している。

現在、飽和状態とも言われるタイの日本食レストランの中で、今後の伸びが期待されるのが丼もの業態。前述のように牛丼では吉野家、すき家、天丼ではてんやなどがすでにタイへの上陸を果たしているが、まだまだ市場拡大の余地は大いにあるといえる。特にバンコク郊外、地方都市など、どちらかと言うと客単価をあまり高く設定できないエリアが大きな有望市場として浮かび上がってくるからだ。

このような中、今年の10月にタイに初上陸した丼もの業態は株式会社アントワークスが展開する「伝説のすた丼屋」。北海道から福岡まで日本全国に70店舗を展開する豚丼チェーン店で、日本以外ではアメリカに3店舗を出店している。その特徴は豚肉のスライスをニンニク醤油ダレで味付けしたものであるが、宗教的に豚肉への制約もなく、肉食性の強い食事を好むタイ人に広く受け入れられる可能性は多いにあるといえる。

今回は、長年タイで居酒屋などの飲食店に勤務し、新たに「伝説のすた丼屋」の誘致に成功した佐々木通安さんにお話を聞いた。佐々木さんは、2011年からタイに語学留学生としてやってきた。その後、金沢カレーの「ゴールドカレー」、居酒屋の「なぎ屋」での経験を経て独立。PTW FOOD Co., Ltd.を設立し、「伝説のすた丼屋」のタイ国でのフランチャイジーとして今年の10月に「伝説のすた丼屋」のオープンにこぎつけた。


タイ1号店はバンコクの原宿サイアムスクエア



ーまず、「伝説のすた丼屋」を開業するまでの佐々木さんの経歴についてお聞かせください。

佐々木通安さん(以下、佐々木): もともと大学を卒業したあとは海外に打って出たいと考えていて、いろいろな国を見て回ったんですが、その中でタイが一番面白そうだなと感じ、ツテがあったのでJチャンネルという日本語FM局のお手伝いをしていました。その後、とっぴー(WoodBallなどの飲食店を経営する後藤俊行氏)さんに、「ゴールドカレー」を始めるので手伝ってくれないかと誘われて1年ほどいました。その後、2014年から居酒屋の「なぎ屋」で5年ほど働きましたが、今年の8月いっぱいで退職し、今回の「伝説のすた丼屋」のオープンとなりました。

ー「伝説のすた丼屋」を開業するきっかけについて教えてください。

佐々木: 今回「伝説のすた丼屋」のフランチャイジーを取得したタイ人パートナーがいるんです。そのパートナーのお父さんが高校生のときに日本に留学してたんですが、その時に僕の父と学校の同級生だったんです。そのような繋がりがあってお互い親しくさせて頂いてました。なぎ屋で働いていた当時、今回のパートナーが日本の「伝説のすた丼屋」をタイでやれば絶対ヒットすると感じフランチャイジーの契約をしたんです。そこで僕に声がかかり、一緒にやらないかということになりました。

タイ人向けにマイルドな味付けの「すた丼」



ーフランチャイジーとしてお店をオープンするまでになにか苦労などはありましたか。

佐々木: 特に大きな問題はなかったですね。日本のフランチャイザー側がオープンサポートとして日本のデザイナーを紹介してくれたり、厨房機器も日本側からタイのホシザキに連絡をとって紹介をしてくれたりといろいろな面でサポートしてもらいました。工事の施工業者はタイの業者でしたが、これもパートナーがツテをあたって探してきてくれました。

ーメニューやレシピ、調理関係のサポートはどうだったんでしょうか。

佐々木: メニュー、レシピも日本のフランチャイザーが提供してくれました。実際の調理に関しては、僕とタイ人スタッフの2名で2週間の研修に行きました。本来もう少し長く研修をするんですが、タイ人のビザの期限などの関係で2週間にしてもらいました。そのかわり、期間中はかなり集中してトレーニングさせてもらいました。この研修以外にも日本からサポートの方が来てくれて、タイでテストキッチンを借りてスタッフに練習させたりもしました。

内装デザインは日本のデザイン会社に依頼



ー日本のメニューをタイで提供する時に工夫されたことなどありましたか。
佐々木: タイ人の味覚に合わせて、日本と比べると少し薄く甘くしています。日本のほうがしょっぱいですね。濃い味にして飯を書き込むイメージです。日本と違い、あえてトッピングを別盛りにして提供していますが、タイ人のお客さんのほとんどがトッピングを注文してくれます。あと、ポーションについては今後多めにしていこうと思ってます。さらに、日本ではおろしニンニクをおいてありますが、タイでは卓上にフライドガーリックを置くなどの工夫も考えてます。

ーオープン後の客層、客単価はどのような状況ですか。

佐々木: 客層に関して言えば、80%がタイ人のお客さんです。そして、サイアムスクエアワンと言う場所柄もありますが、平日は50%が学生ですね。週末はファミリー、カップルが多くなります。年齢層的には、20-30代が中心ですね。日本人の方も来られますが、比較的年齢層が高いと思います。40代の方が多いですね。客単価は、当初見込んだよりかなり高くて、240B程度です。これは単品ではなく、セットメニューをほとんどの方がオーダされるからです。

佐々木 道安さん(30歳)



ースタッフ募集、教育など人材面で苦労されたことはありますか。

佐々木: 募集は、工事中の店舗前の張り紙、インターネットなどで募集しました。現在スタッフはタイ人、ミャンマー人合わせて10人ですが、全くの未経験者もいて、こういうスタッフをどう教育しようか考えてしまいます。なぎ屋にいたときはまわりが経験のあるスタッフばかりだったので、全くの未経験者に指導することなどなかったからです。経験がない人間を採用したとしても既にいるスタッフが教育してましたから。例えばお客さんが言ってることがわからない時に不機嫌な顔をするなとか、そんなところから始めなきゃいけないんです。

ー今後の店舗展開についてはどのような計画でしょうか。

佐々木: 2023年までに20店舗を目標にしています。すでにターミナル21やセントラルグループなど、いくつかのモールから声をかけてもらっていますので、来年は4店舗程度オープンしたいと考えています。大手のショッピングモール以外では地下鉄の駅にあるメトロモールにも興味があります。以前働いていたゴールドカレーはメトロモールに出店してかなり繁盛しているらしいので。

ー今後のご活躍を期待しております!本日はありがとうございました。

(取材=まえだ ひろゆき)

店舗データ

店名 Stadonya Thailand
住所 4th. FL. 388 Rama I Rd, Pathum Wan, Bangkok 10330
定休日 なし
オープン日 2019年3月19日
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