飲食店・レストラン“トレンド”を配信するフードビジネスニュースサイト「フードスタジアムワールド」

インタビュー

【タイ発】SUNPARK BANGKOK CO., LTD. 山本智史 〜ラーメンに続きカレーライスで海外700店舗、タイ国内80店舗を目指す〜


JETROが発表した「2019年度タイ国日本食レストラン店舗数調査」によると日本食レストランの店舗数は3,637店となり、対前年比21.1%の伸びを見せた。1999年のOishi1号店のオープンに始まったタイの日本食ブームは、20年の年月を経てタイ人の食生活に定着し、すでに日常食となった。タイ全国どこのショッピングモールに行っても日本食レストランはかならずあるし、セブンイレブンなどのコンビニエンスストアでお弁当やおにぎりなどが気軽に手にとることもできる。

日本人にとっての「国民食」ともいわれるラーメンもタイ人にとっては身近な存在。タイの日本食チェーン店の中でも128店を展開する最大手の一つは日本の北陸地方を発祥とする「8番らーめん」だ。大衆向けの価格帯とバラエティに富んだメニュー構成で、学生、ファミリー層を中心に絶大な人気を誇る。出店エリアもバンコク周辺だけじゃなくタイ全土に及ぶ。タイの日系ラーメン市場を牽引する存在。

山本智史さん(中央)



現在、タイ国内のラーメン店は429店舗。半数以上がバンコク都内の出店だが、地方への出店も毎年確実に増加している。このように裾野の広いタイのラーメン市場ではあるが、多店舗展開に成功している事例はあまり多くない。日本のラーメンチェーン最大手の幸楽苑を始め、味千ラーメン、一風堂、フジヤマ55などが進出しているが、現地資本も含めて店舗数において8番らーめんには遠く及ばない。

このような状況の中、日本で「びっくりドンキー」などをFC展開する株式会社サンパークがタイ・バンコクに独自の海外専用ラーメンブランド「豚骨火山」をオープンしたのが2013年。その後、店舗数を増やし、2019年現在タイ国内で6店舗、その他の海外も含めると14店舗を展開するまでに至った。タイ人に人気のある豚骨スープとインパクトのある店舗内装が注目を集め、出店先の各ショッピングモールでも人気店となっている。

そして新たに、2019年10月、やはり日本の「国民食」の一つカレーライス店をオープン。「神田カレーグランプリ」優勝の「マジカレー」の海外初出店となる。ラーメンと比べるとタイ人への認知度は低いが、「CoCo壱番屋」の出店以来、日本食の定番メニューとして、気軽に利用できる日本食メニューとして、タイの日本食市場の一角を占めつつあるカレーライス市場に挑戦することになった。

今回、インタビューにご協力いただいたのは、株式会社サンパークのアセアン統括部長の山本智史さん。2013年のサンパークのタイ1号店であるラーメン店「豚骨火山」の立ち上げから関わり、現在では、直営店だけでなく、ラーメン店、シュークリーム店「ビアードパパ」などサンパーク傘下のタイにおけるFCチェーン全体を管理する責任者だ。

豚骨火山6号店 サイアムセンター



ー豚骨火山の立ち上げ時にタイにはじめてきた印象を聞かせてください。
山本智史さん(以下山本): 思ってた以上に日系飲食店が進出していて、レベルも高かったという印象がありました。ラーメンはもちろん、居酒屋、定食屋についてもレベルの高さを感じました。タイに来る前にタイで飲食店をやるのは簡単だから、儲かるからと聞いていたので、ホントかなあと思いました。

 

ーそのあと、豚骨火山1号店を出店してみてどのような感じでしたか。
山本: タイで出店する前にすでにシンガポールに出店していて、そこは流行っていたので、自信はありました。しかし、いざオープンしてみるとお店が入ってるビルのテナントが埋まってなくて、人通りがぜんぜんありませんでした。なので最初の感触としてはこの場所で行けるのかなあと心配になりました。案の定、昼はそこそこお客さんが入ってきたのですが、夜がぜんぜんダメでした。 そんな状態が5、6ヶ月続きました。

 

火山ラーメン



ーその時、集客のためになにか対策をしましたか。
山本: お店が暇で時間はいくらでもあったので、スタッフ総出でビラ配りをしょっちゅうしていました。日本語情報誌にも広告を出したりもしました。あと、モールバンカピで日本食のイベントがあったのでこれに出店しましたが、結果的にはインパクトはあまりなかったです。餃子無料券を3、4組が持ってきたくらいです。でも、その後しばらくしてタイのローカルTV局の取材が入るようになったのはモールのイベントでの効果かもしれません。

 

ー想定していたお客さんのターゲットと実際の来客の傾向に違いはありましたか。
山本: 当初はタイ人のお客さんをメインターゲットにしていたので、価格設定もかなり低めに抑えていました。しかし、実際に来店されるお客さんは日本人が6割強くらいでした。 これは思ってたのとはかなり違う結果でした。結局、10ヶ月位たってやっと単月で黒字が出るようになりました。この頃夜の集客も増えてきて、タイ人のお客さんも来るようになりました。現在、1号店ではタイ人のお客さんが7割程度になりました。

 

ー2号店以降はどういう経緯で現在に至ったんですか。
山本: 1号店オープンから1年後にスリウォン店を出店しました。ここは立地的に難しかったと思います。いまでも苦戦してると言えます。その後、2018年9月にタイ3号店をラチャダーの「ストリートラチャダ」というショッピングモールに出店しました。このお店はタイにおけるFC1号店です。フランチャイジーはスーパーマーケットの「フードランド」です。このあと、立て続けに10月にパタヤの「ターミナル21」、11月にショッピングモールの「ファッションアイランド」に出店しました。4号店と5号店も「フードランド」のFC店になります。そして今年の4月に「サイアムセンター」に直営店で6号店を出店しました。

 

ー3号店から3店舗続けてFC店舗となったわけですね。FC展開を始めたキッカケはなんですか。
山本: そうです。フードランドの会長がスリウォン店によく来てたんです。そこで、会長がこのブランドはFCをやってるかと聞いてきたのがキッカケです。ただし、FC展開については当時まだ準備してませんでした。シンガポールではFC展開をしているので、タイでもそのつもりではいましたが、具体的には何も準備してなかったんです。なので、実際にやるとなってからだいぶバタバタしました。

 

マジカレー タイ1号店



ー豚骨火山に続き今回カレー業態をはじめましたがこの経緯について教えてください。
山本: サンパークが日本で経営しているカレー店「マジカレー」が、東京で2018年に「神田カレーグランプリ」でグランプリを獲得しました。これをキッカケに日本のマスコミでもどんどん取り上げていただくようになりまして、人気店、行列ができる店になったんです。そこで海外展開をしようという話になりました。タイに関して言えば、「CoCo壱番屋」も大々的に展開している、直近では「日乃屋カレー」も進出してきたということで海外に出すならタイがいいだろうという事になりました。「神田カレーグランプリ」を受賞したときは単独店舗だったので、じつはこのタイ1号店がマジカレー全体で2号店なんです。

 

ータイでの日本式カレーライスの市場についてどう考えてますか。
山本: 日本食のメニューの一つとしてのカレーライスはかなり認知度があると思うんですが、専門店として展開しているのは、CoCo壱番屋、日乃屋、ゴールドカレーなどまだまだ少ない。そこには店舗展開する余地がまだあると思ったんです。そして、豚骨火山のときは無名のラーメン店だったわけですが、マジカレーは「神田カレーグランプリ」優勝というコンテンツがありますので、展開するにはじゅうぶんな材料になるなと思ってます。

 

神田カレーグランプリ優勝メニュー
フォンデューソース掛けハンバーグカレー



ーマジカレーとして、タイならではの展開、今後の計画はどう考えてますか。
山本: メニューとしては、サーモンカツとか、トンカツとハンバークと牛しゃぶを全部盛ったメニューなど肉を重視した内容をタイオリジナルで出しています。今後の展開そしては、すでにタイ以外の海外から出店の引き合いは来ています。もちろん、タイでもこれに並行して2号店の準備を進めてます。来年はタイも含めた近隣国で4-5店舗程度の出店を考えてます。

 

ーでは、タイ以外も含めた海外にマジカレーを展開していこうということですか。
山本: 2030年までの10年間で、全世界で1,000店舗という目標があります。 このうち、日本国内に300店舗、海外に700店舗を想定しています。タイに関しては、海外700店舗のうち80店舗を考えています。また、80店舗の中には今のようなショッピングモールの店舗だけでなく、フードコートへの出店、路面店なども含んでいこうと思ってます。FCと直営に関して言うと、直営が10店舗、FCが70店舗程度の割合になると思います。

 

ー本日はありがとうございました。

(取材=まえだ ひろゆき)

店舗データ

店名 Maji Curry Thailand
住所 FL2, 979 Rama 1 Road, Pathumwan, Bangkok 10330, Thailand
電話 065-848-6143
定休日 なし
坪数客数 50平米 30席
運営会社 SUNPARK BANGKOK CO., LTD.
関連リンク Facebookページ

インタビュー一覧トップへ

食べログ掲載店募集中

飲食施設の分煙環境整備補助金の取り組み
Copyright © 2019 Food Stadium.,Ltd. All Rights Reserved. All Rights Reserved.