タイ、バンコクで炉端焼き居酒屋を展開する「原始焼き」
「原始焼き」は、日本の北海道に本店があり、日本全国で10店舗以上を展開するチェーン店ルンゴカーニバルの関連会社のタイ法人が展開する炉端焼き居酒屋。
北海道の新鮮な素材を使って炉端焼きで提供するのがコンセプトだ。
タイへの出店は、2013年5月オープンの1号店、2014年11月オープンの2号店と、順調に進み、この度2016年6月に3号店をオープンさせた。
その立役者である、店長でありオーナーでもある伊川さん、オーナーの中山さんにお話を聞きました。
—原始焼きのコンセプトは?
伊川昌士オーナー(以下伊川):もともと北海道で私が働いていた「原始焼き」のタイ進出の話があり、1号店をオープンさせたのが、3年前の2013年5月です。北海道と原始焼きというキーワードを軸に北海道郷土料理、北海道食材をリーズナブルに味も美味しく提供できるようにというコンセプトではじめました。
—今回オープンさせた、3号店は、1号店、2号店と同じような内容ですか?
伊川:1号店は、純粋な和食炉端焼きとしてオープンさせましたが、2号店で少し洋食要素を取り入れました。3号店ではこれまでの内容に加えご当地釜飯を話題性にタイ人にも分かりやすい日本の大衆居酒屋のようなイメージで内装、メニューを仕上げました。メニューは日本の仕入先でもお世話になっている漁師さんの顔が見える、どこから海産物がやってきているか分かるようなデザインになっています。
個室需要にも対応して2階は全て個室になっています。
![](http://food-stadium.asia/wp/wp-content/uploads/2016/07/20160712_Genshiyaki3_004.jpg)
—1号店のスクムビットソイ31、2号店のスクムビットソイ26に続き、3号店はエカマイソイ12と、どこも立地が良い場所ですね。どうやって探しているのですか?
伊川:飲食店において場所は重要なので、私がバイクで走り回って、良さそうなところを見つけたら、付き合いのある不動産屋に伝えて、物件の手配をしてもらっています。
—伊川さんの経歴をお聞かせください。
伊川:私は北海道出身なのですが、以前より海外志向があり、以前もオーストラリアのブリスベンで働いていました。オーストラリアから一度北海道に戻り、原始焼きで4年働いた後、タイ出店のお話をいただき、今に至っております。出店準備中は、タイの日本食レストランで働かせてもらいながら、色々と学ばせて頂きました。
—タイはどんな印象でしたか?
ひとくちに東南アジアと言っても、国によって暮らしやすさには差があります。タイ、特にバンコクにおいては、その生活レベルが非常に高く、あまりストレスなく生活をしながら仕事に専念できると思い、タイでの出店を決めました。シンガポールも検討したのですが、やはり物価がかなり高いので・・・
—タイの原始焼きは、日本のフランチャイズという位置付けですか?
伊川:いや、フランチャイズではありません。関連会社ではありますが、あくまでも独立した店舗としてやっております。ただし、素材などの提供などに関しては、協力をお願いしてます。
—ということは、素材は日本の原始焼きで提供しているものと同様のものなのですか?
伊川:はい、和牛や、ホタテなどの海鮮全般、コロッケなどは、日本から直輸入しています。もちろん輸入にはコストもかかりますし、鮮度も落ちるので、こちらで手配した方が良いものは、タイで仕入れています。
—コロッケ?ですか?タイでは作れないのですか?
中山裕久オーナー(以下中山):全然味が違うんですよ、北海道のじゃがいもは甘さがありますので、そこはこだわっています。もともと私は原始焼きとは食材提供の部分
で関わっておりましたが、2号店よりオーナーとして関わらせていただいてます。
—タイ人と日本人の来店者比率はどうでしょう?
伊川:お店によって異なるのですが、平均すると日本人が6〜7割程度です。
—やはり日本人が多いですね。日本人がターゲットなのでしょうか?
伊川:いや、やはり現地のタイの方に多く来て欲しいですね。とは言え現状は、タイ人が来ないというよりは、日本人への訴求が上手くいっている結果だと思います。今後は、日本人のお客様は今までどおりで、タイ人を少しづつ増やしていきたいですね。
—タイの方への広告宣伝、告知などはどのようにしてますか?
伊川:タイの雑誌などの媒体を調べましたが、どこもコストが高いので、今のところはSNSなどを使って宣伝を行っています。
—タイは日本と比べてSNSでのプロモーションが効果ありますよね。タイ語での宣伝は大変ではないですか?
伊川:タイにもPR業者がおります。そのようなところに協力をお願いしながら、宣伝しています。—日本人とタイ人では、嗜好に差はありますか?
伊川:もちろんありますね。総じてタイ人はあまり冒険をしないような印象があります。原始焼きでは、タイ人がよく注文するものは、日本人と比べるとかなり決まってきています。タイ人の方はこれまでに日本で食べたことがあるものによる傾向が強いと思います。定番はサーモン、イクラ、蟹、烏賊、帆立てなどがよく好まれます。塩分には特に敏感なので塩辛など塩気が強く感じられるものはあまり好まれません。
日本人の方はお酒と料理を合わすという意識が強いので飲まれているものに合わせてオーダーをされています。お酒好きのタイ人の方にはお酒と食のマリアージュ的なものを提案していきたいと思っています。
—タイはでは外国資本100%で法人は設立できないのですが、原始焼きのタイ人のパートナーはどんな方ですか?
中山:私はタイで他に飲食店やアパレルを展開していますが、その経緯で私が昔から付き合いのある信頼できるタイ人のパートナーがおりますので、彼に資本を持ってもらっています。
—パートナーの方は、何か方針にアドバイスしたりするのですか?
中山:基本的にはあまり口出しはしません。ただタイの飲食業界においては、色々と面倒なことが多発するので(苦笑) その際にサポートしてもらったり、アドバイスをもらったりしてます。
—お酒の種類もかなり多いですが、これも日本から輸入ですか?
中山:いや、タイでは既に大規模なお酒のサプライヤーがありますので、そちらから仕入れています。
—日本人の求人はどのようにしていますか?
伊川:マネージャーは、人材紹介会社にお願いしていますね。少数精鋭でいきたいのですが、どうしても各店舗日本人2人は必要なんです。
—タイ人だけでというのは難しいですか?
伊川:現状では非常に難しいですね。
—-タイ人の雇用はどのようにされていますか?
中山:タイ人からの紹介が多いです。現在働いているスタッフに頼んで探してもらったりとか。
—雇用面でのご苦労などはありますか?
伊川:賃上げ交渉などは、かなりストレートにしてきますね。賃金に見合った働き手なら良いのですが、そうでない場合も多く、また人手も足りないので、なかなか難しいです。
—最後にこれからタイに進出しようとする飲食店の方にアドバイスをお願いできますか?
中山:先ほどお話ししましたが、タイでは日本企業が単独で法人を設立進出できないので、どうしてもタイのパートナーが必要となります。そのパートナーによって、成功の可否はある程度決まると言っても過言ではありません。パートナー選びは慎重に行い、良いパートナーにめぐり合うことは不可欠ですね。
—おっしゃる通りですね。本日はありがとうございました。
2000軒以上と言われる、タイの和食レストラン。その中で成功させるのは、一昔前よりかなり難しくなっているような印象を受ける。とは言え、以前は現地の日本人がメインターゲットだったが、日本食ブームの昨今、日本に行き本物の味を知るタイ人が急速に増えており、中途半端な店舗は生き残るのが難しくなってきている。その中でも原始焼きはホンモノを提供しているので、今後の展開が期待出来る印象を受けた。(聞き手/高岡英樹、まえだひろゆき)
店舗情報店名(かな):北海道炉端 原始焼き3号店(ほっかいどうろばたげんしやき3ごうてん)
住所 :エカマイソイ12
アクセス :BTSエカマイ駅よりタクシーで10分
電話 :02-060 -5503
営業時間 :月〜土(17:00〜23:00(L.O.) 23:30)/ 日(16:00〜22:00(L.O.) 22:30)
定休日 :なし
駐車場 :あり
坪数席数 :91坪120席
客単価 :ディナー1200バーツ
売上 :400万バーツ/月
運営会社 :CLIMB UP CO., LTD.
![20160712_Genshiyaki3_001](http://food-stadium.asia/wp/wp-content/uploads/2016/07/20160712_Genshiyaki3_001-300x200.jpg)
GNA INTERNATIONAL CO., LTD. 代表
大学卒業後、大手ゼネコンに就職。その後、1999年に渡タイ。2000年4月に貿易会社GNA INTERNATIONAL CO., LTD. を創業。その後、アパレル小売のCENO (THAILAND) CO., LTD. 、情報発信サイトSOUL4STREET CO., LTD. などを設立。2014年12月より北海道レストラン「原始焼き」に参画。
伊川 晶士(いかわ まさし)氏プロフィール 写真中央
CLIMB UP CO., LTD. オーナー
高校卒業後オーストラリに語学留学中にブリスベンの日本食レストランにて修行。帰国後に北海道の飲食店ルンゴカーニバル に入社。2013年来タイ後2014年に暖簾分けとして北海道炉端原始焼きをオープン。2017年現在、北海道食材と炉端焼きをコンセプトに3店舗を運営。