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インタビュー

【タイ発】株式会社トッペミート代表取締役社長 木原徹 〜日系の焼き肉業態が群雄割拠するバンコクにあえて高級焼き肉店を出店 メニュー、サービスの差別化とSNS展開でタイ人高所得層を狙う〜


10年前に日本産の牛肉のタイへの輸出が解禁されてから巻き起こった和牛ブームは、今年に入ってからも衰えることを知らない。焼肉店、肉居酒屋、ステーキハウスなど日系、ローカル系を問わず和牛をウリにした飲食店が毎月オープンしている。バンコクの中心部で、日本人も多く住むスクムビットエリアでは、裏道の小さな路地にも焼肉屋の一軒くらい簡単に見つけることができるほど。

最近では、タイ人の間でも「WAGYU」という言葉が普通に発せられるようになっただけでなく、肉の等級を示す「A5」の肉を扱っているかどうかが店選びの判断基準になってきている。いまや、肉料理の素材のみならず、寿司ネタ、串カツからラーメンのトッピングにいたるまでメニューに「WAGYU」「A5」の文字が踊るような状況となってしまった。

このような和牛ブランド旋風の中、生の和牛を使った肉寿司や「飲めるハンバーグ」で話題の「将泰庵」がバンコクトンロー通りの「ホテルニッコーバンコク」内に「TOKYO YAKINIKU SHOUTAIAN」として今年の2月にオープンした。「将泰庵」は2011年に日本の千葉県船橋市にA5ランク黒毛和牛を専門に扱う「肉の匠 将泰庵」をオープン。生の和牛を使った肉寿司や「飲めるハンバーグ」で話題を集め、現在、日本国内に4業態7店舗を展開する。

「将泰庵」を運営する「株式会社トッペミート」の代表取締役社長 木原徹さんに海外進出第一号としてタイを選んだ経緯と現状、そして、今後の展開についてお話をうかがった。


ー今回のタイへの出店はどのようなきっかけで実現したのでしょうか。
木原徹(以下、木原):アジア圏に出店しようと考えていました。実際には、シンガポールとベトナムのホーチミン、そしてバンコクに既存の焼肉店を売りたいという話があったんです。それで見に行きました。でも、正直言うとどの物件も良くなかったんです。しかし、バンコクでは、ニッコーホテルのお話もありました。ニッコーホテルの物件を見に行って、ここいいなと思いました。

ー実際タイを視察されての感想はどうでしたか。
木原: まずは、バンコクの焼き肉業態が飽和状態とは言わないまでも、出店数が多く焼肉店だらけだったので、出店しても差別化がしやすいんじゃないかと感じました。自分たちがやっているお店のスタッフが焼くスタイルが受け入れられる。焼き肉の市場がないところに出店するよりはいいかなと思いました。

ーバンコクの既存の焼肉店についてはどう思われましたか。
木原:ずいぶんレベルは高いと思いました。想像以上でした。肉質を見てこの金額で出せるのかと驚きました。あと、中途半端な客単価のお店が多いなとも感じました。いま自分たちの店舗は客単価が日本円で13,500円から14,500円の価格帯なんですけど、最初から、タイ人の富裕層をターゲットに考えていたので、既存の焼き肉店が客単価7,000円とかなのでそれよりあげてもいいんじゃないかと思いました。実際にはもう少し上げてもいいくらいだと思ってます。

ーお店の開店を準備されている間はどのようなことをされてましたか。
木原:予定より一年くらいオープンが遅れたのですが、その間、人脈作りをしてました。販促をどうやってやるのが最適なのか。タイではSNSがいいらしいと聞いて、つてを当たり、パワーブロガーなどのインフルエンサーを探しました。私も含め、こちらにいる日本人スタッフ、タイ人スタッフと彼らインフルエンサーが一緒に飲み歩いたりして交流する機会をつくりました。逆に言うとオープンが遅れた期間のあいだにバッチリ販促ができたと考えてます。結果としてスタートダッシュが切れて初月で300万バーツの売り上げができたと考えてます。

ーSNSを通じた販促以外にはどのようなことをやりましたか。
木原: オープン前、1ヶ月半の間、部屋を借りてメニューの説明、接客などの訓練をやってました。この教育する時間があったおかげで、オープン後にお客さまから接客について褒めていただいてます。当初からスタッフは12名ですが、うち2名が日本語ペラペラなタイ人で、この2人に私から教えて、講師をやってもらってます。日本人マネージャは時折アドバイスをしたり、最終的なチェックをするなどしてます。
今回ツイていたのは、日本語のできるスタッフの1人が日本に高校生の時から11年いて、新宿の歌舞伎町で7年の飲食経験があったこと。もう1人がJALのスチワーデスの経験があったことです。この2人のタイ人が他のタイ人スタッフに対して厳しくしても受け入れてくれる雰囲気ができています。

ー従業員、タイ人スタッフの募集、教育で困ったことはありますか。
木原: コミュニケーションのとり方ですね。タイ人を人前で怒ってはいけないことも最初はわかんなかったので、優しく言っているつもりでも、怒ってて怖いとか。最初の12人のうち3人が辞めましたね。その後募集して補充しました。
12人という人員でお店を回していくことに関しては、日本スタイルで1人が2テーブルを見るということを採用の時にサラリーも含めてキッチリ説明しておりますので、うまくやってくれています。
スタッフ全員からあの日本人マネージャとはやれないと、言われたこともあります。その時はタイ人のリーダーと話をして何がいけないのかをダメ出ししてもらって、いけないところは直すからみんなもサービスの質や決められたことはちゃんと守ってくれと約束したこともありました。こんなことががこの半年間でに3度くらいありました。

ーお客さんの構成はどのようになってますか。
木原: 現在、日本人とタイ人が半分半分くらいです。客単価でいうと、接待を除く日本人のお客さまが3,300〜3,500バーツでタイ人の方は4,000〜5,000バーツくらいです。接待の場合の日本人は4,500〜6,000バーツくらいいきます。ただし、これは飲み物込みの単価なんですが、日本人と比べて、タイ人の方はほとんどお酒を飲まれないです。

ータイ人のお客さんについての傾向はありますか。
木原: 予約のお客さまが時間どおりに来られないというのがありますね。そういうもんだと割り切って対応するようにしています。予約の時間が過ぎて5〜10分くらい前にスタッフに電話させて、来るか来ないかを判断してもらってます。その判断で他のお客さまを通すようにしてます。

ータイならではのメニューはありますか?
木原: 最近新しいコースを増やしました。8月からなんですが、極上おまかせコースという名で、ポイントはアワビ、タラバガニ、ロブスターから選べる海鮮焼きとサーロインのすき焼きにトリフをトッピングしたメニューが加わっています。いままで一番高かった史上最強コースの3,600バーツの上をいく4,200バーツで提供しています。
あとタイ人の方が当店を選んでいただける看板メニューがあります。4種8枚盛り合わせというメニューで、タイ人の方は100%注文されますね。これは宝箱に入って提供してますが、大人気です。これと並んで、A5ランク王者のユッケ(780バーツ)、厚切り花咲タン塩(700バーツ)も必ず注文されますね。

ー今後の展開は?タイ人向け、郊外店、モール?路面?
木原: バンコクでは、このお店を直営で続け、それ以外にFCでの展開を考えています。そのあとは、つぎの国を考えてます。具体的には、ベトナムのホーチミン、台湾などを考えてます。特にホーチミンではミート矢澤さんが、120席の大箱で客単価12,000円で好調だと聞いてますので。ジャカルタもまだ見に行ってないですけど気になりますね。

(取材=まえだ ひろゆき)

店舗データ

店名 TOKYO YAKINIKU SHOUTAIAN
住所 3F Hotel Nikko Bangkok 27 Soi Sukhumvit 55(Thonglor),Sukhumvit Road,Klongtan Nua,Wattana,Bangkok 10110 Thailand
電話 062-554-2981
運営会社 TOPPE MEAT (Thailand) Co.,Ltd.
オープン日 2019年3月19日
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