【タイ発・動画コラム バンコク飲食の非常識】
飲食視点から東南アジア・タイの現地情報を発信。飲食業界、外食産業とその界隈にかかわる現地在住ならではのリアルな情報を動画コラムでお届けします。これから海外で事業を展開したい方、タイ、東南アジアへ進出を検討してる方にとっては必見のフードビジネス情報です。
タイのショッピングモールの飲食店といえば、巨大外食チェーンの「ファストフード」、ファインダイニングとカジュアルダイニングが混ざりあった「レストラン街」、そしてボトムを支えるエコノミーライスとしての「フードコート」が定番とそれぞれの棲み分けがあったのは過去の常識。そんな予定調和のような風景が、いろいろな業態がごちゃまぜになった「横丁状態」の食のテーマパークに変貌。ファインダイニングブランドがカジュアル業態を、カジュアルダイニングがファストフードっぽい業態を出店するなど、気軽さと割安感を訴求。財布の紐が固くなった顧客を引きつけてる。
ショッピングモールの風景が変わった
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プロンポン駅からSky Walkで直接アクセスできるM Districtショッピングモール群で最も古いのが1997年オープンのEmporium。1、2階にシャネル、ルイ・ビトン、カルチェ、ティファニーなどの高級ブランドのショップが並び、このショッピングモールがオープン当初から高所得層をターゲットにしてたことがわかる。ただ、上階にあるレストラン街、フードコートをみると最近のショッピングモールにしてはかなり手狭。20年以上前の高級ショッピングモールではレストラン街があまり重視されてなかったんじゃないかとも考えられる。
いっぽう、今から10年前の2015年にオープンしたEmQuatierでは、5階から上3フロアを使った巨大なレストラン街や地階1フロア全体を使ったこれも巨大なフードコートとフードホールを見ると、約10年間の間でショッピングモールにおける「食」のプライオリティがかなり高まったことが考えらる。しかし、5階以上にあるレストラン街はオープン当初に比べると空きテナントが目立つ。現在営業してるテナントの顔ぶれをみても話題性があるお店、行列ができる人気店が皆無。10年目にして陳腐化してしまったのだろうか。
そしてオープン2年目のEmSphereは大胆にも、1、2階の2フロア全体を使って「Asia’s Culinary Landmark(アジアの食のランドマーク」と名付けた食のテーマパークを演出。日本で流行った「横丁業態」を想起させる空気感。高級じゃないカジュアルで身近、そこにいるだけで楽しめる食のエンターテイメント空間を演出。飽和状態にあるバンコクのショッピングモール界隈での差別化と、経済不況で落ち込んだ消費低迷に直面する飲食店への誘客と売上アップも狙う。
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「Emporium」、「EmQuartier」、「EmSphere」については、各々のWikipediaを参照ください。 |
(取材=まえだ ひろゆき)


























