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編集長コラム

ホーチミンの食の現場から!驚きの「税制改革」と「焼き鳥ブーム」、そしてライターを悩ませる”あの問題”

PROFILE

菅野 壮紀

菅野 壮紀(かんの たけのり)
APPLILAB SINGAPORE CEO 飲食業界向けITソリューションを提供するAPPLILAB SINGAPOREのCEO。 シンガポールを拠点に、東南アジアを中心とした世界の飲食トレンド、Food Tech、店舗経営の最前線を定点観測している。 現地のリアルな事情に精通し、日本の飲食企業が海外の知見を取り入れるための架け橋として活動中。 https://applilab.sg/


急加速するホーチミン市場!飲食店の必須知識

海外の食のトレンドを追う飲食業従事者の皆様、こんにちは。今回は、東南アジアの注目株、ベトナム・ホーチミンの最新事情をお届けします。

昨今、ホーチミンは日本の飲食企業にとって非常に魅力的な市場として認識されています。その活気は目覚ましいものがありますが、同時に、進出や経営を考える上で知っておくべき重要な変化と「壁」が存在しています。

####ベトナム税制改革の核心!飲食店経営者が対応すべき「電子化の波」

以前は税制が流動的で不透明感もありましたが、現在のベトナム政府は、特に外資系企業に対する税制を、より明確かつ優遇する方向に舵を切り始めています。

この税制改革において、飲食業経営者が最も注目すべきは、「電子インボイス(電子レシート)」の義務化と、それに伴うPOSシステム運用ルールの厳格化です。

#### 1. POSシステムと連動必須の「電子レシート」
ベトナムでは、税務署へのレシートデータ送信が可能な電子インボイス(レシート)の発行が義務付けられています。これは、POSシステムで管理される売上データと、税務当局がチェックするデータが直結することを意味します。

* 「いつ」売上が確定したか: サービス提供が完了した時点、または入金があった時点がインボイス発行時点と厳格に規定されています(サービス内容により例外あり)。
* 求められる透明性: この電子化により、レジ操作ミスや意図しない売上除外が許されない環境が構築されつつあります。日本の飲食店が持つ「正確性」と「透明性」の高いオペレーションが、現地でも強く求められるようになっているのです。

#### 2. 注目すべき「VAT還付」の範囲拡大と減税継続
同時に、優遇措置も強化されています。

* 拡張投資へのVAT還付: 既存店舗の増床やセントラルキッチン増設など、**「攻めの拡張戦略」**に対する設備投資に係るVAT還付が明確化され、積極的な事業拡大の背中を押しています。
* VAT税率8%の継続提案: 消費者の購買意欲を維持するためのVAT税率(付加価値税)の10%から8%への**引き下げ措置の継続**も提案されており、価格競争力維持の追い風となります。

これらの動きは、ベトナム市場が「ルーズな市場」から「デジタル管理の徹底と引き換えに、成長への優遇を受けられる市場」へと急速に進化していることを示しています。進出・経営を考える上では、日本の技術力を用いたPOSシステムとバックオフィスの連携強化が、もはや必須条件となります。

※実際のインボイス画像

 

これは逆に追い風であると考えます。
脱税(節税)目的でベトナムに出店している企業は痛手を負うかと思いますが、誠実に「日本のおもてなし」を輸出したいと考える企業はそもそも当然のこと。なんら違和感なく通常通り経営を行うだけで、国から優遇措置を受けられるのは渡りに船です。



#### ✈️ 日本からの「入国が遅い」が示すもの

一方で、進出の障壁として、現在でも指摘されるのが「入国が遅い」という問題です。これはビザの発給手続きや、現地の行政手続きの煩雑さを指しています。

活気あふれる街のエネルギーに反し、この「入国スピード」の遅さが、進出のタイミングや人材配置にブレーキをかける要因となっています。スピード感が求められる飲食業において、このギャップをどう埋めるかが現地での成功の鍵となります。

これはベトナムが、「逆に発展してしまっていたため」ということも示しています。
例えば日本やシンガポールであれば、アプリ申請・顔認証でほぼスルー出来ることは想像出来るかと思いますが、カンボジアでも同じことが可能です。これは筆者の主観となりますが、カンボジアは投資をまだしきれていない状態だったからこそドラスティックな転換が出来たのではないでしょうか?例えるなら日本で今更すべての電信柱を一気に地中に埋められないのと似ています。この問題は後述のトイレ問題にも現れます。


※入国審査時は写真撮影は禁止されているため、生成AIによる参考画像

 

#### ホーチミンを席巻する「焼き鳥」ブームの秘密

街の食のトレンドでは、日本食の激増、特に焼き鳥の存在感が圧倒的です。

これまでの日本食といえば、寿司やラーメンが中心でしたが、ここ数年で、日本の居酒屋文化がそのまま持ち込まれたような焼き鳥専門店が、高級店から屋台まで激増しています。

ベトナムの食文化は鶏肉を頻繁に使うため、焼き鳥は現地の消費者にスムーズに受け入れられやすい土壌があります。また、日本の職人技が光る「串打ち」「タレ」「焼き」の技術は、現地の料理人にとって大きな学びとなり、ベトナムの食材を使った新たなメニュー開発のヒントにもなっています。



### ライター泣かせの「街の壁」と、その活気の源

ここからは少しプライベートな話になりますが、現地で活動する日本人にとって、地味に困るのが「トイレに紙を流せない」というインフラの問題です。日本人では想像しにくいかと思いますが、まだ配管の問題でトイレットペーパーをゴミ箱に捨てる習慣が残っています。
筆者は連泊の際に、基本的にハウスキープは依頼しないのですが、ベトナムでは上記問題があるため、必ず依頼をしています。

しかし、このようなインフラの課題をものともせず、ホーチミンの「街が元気」であることは疑いようのない事実です。

溢れるバイク、深夜まで賑わう屋台、そして新しいビルの建設ラッシュ。このエネルギーこそが、ベトナムの最大の魅力であり、飲食業に携わる皆様にとって、最も参考になる「活気」の源泉ではないでしょうか。

市場は常に変化し、活気に満ちています。税制優遇とトレンドを学び、この街のエネルギーを取り込むことが、今後の海外戦略の鍵となりそうです。

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